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ついに刊行!『翻訳ほど残酷な仕事はない 第二部 地の利』

08 30, 2013
 大変長らくお待たせいたしました。『翻訳ほど残酷な仕事はない 第二部 地の利』刊行です。以下紹介文。


 単なる一翻訳者の自伝的書物の類だと思ってはならない。また、「あなたにもなれる!」式の甘い誘惑のことばが書き連ねられているわけでもない。
 この第二部ではいよいよ、辻谷青年の翻訳者としての人生が始まる。独立前、ある翻訳会社に勤めた2年間の記録である。翻訳者を目指している者の多くにとってはまさにあこがれの人生だ。ただ著者にとってこの事態は、「そうするしかなかった」というある種の運命的なものにすぎない。バラ色の未来が待ち受けているのか、はたまた不幸の始まりか。
 この巻にかぎったことではないが、読む者は常に決断を迫られることになる。覚悟を決めるか、潔くあきらめるか。それ以外に選択肢はない。これほど読後に清々しい気分になる本もめずらしい。
 注目すべき点はほかにもある。著者は常に「あるもの」との対決を迫られる。それも、翻訳という人生とは関係なく、誰もが直面するはずの魔物である。それは読む者のなかに巣食う魔物かもしれない。


 
 目次

 人生でいちばん長い日
 文科系と理科系
 「終わり」と「始まり」との逆転
 小学校だけが大学だった
 トリックの落とし穴
 通訳と翻訳
 ふたつの井戸
 趣味と仕事
 釈迦の掌
 日本という怪物
 懲役五年
 翻訳者とスポーツ
 名ばかりの人事部長
 プロになれない者たち
 社内旅行ほど残酷な仕事はない
 「時間」の蓄え
 新しい砦
 本を買うということ
 遠かったドイツ
 人間と風景
 
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毎日新聞8月28日朝刊に「ユマニチュード」の記事

08 28, 2013
 タイトルの通りですが、今日の毎日新聞の朝刊11面に「ユマニチュード」の記事が掲載されています。紹介者は大熊由紀子さんです。大きなメディアで「ユマニチュード」が取り上げられたのははじめてのことではないでしょうか。

 この記事によると、約1年間何も話さなかった女性にジネストさん(「ユマニチュード」の創始者)が接すると、「手を上げてください」ということばに反応して手を上げ、「ありがとう」と言ったそうです。
 このエピソードだけでも、「ユマニチュード」に秘められた可能性を感じていただけるのではないかと思います。

 また、8月24日には桜新町アーバンクリニック主催、東京医療センター(「ユマニチュード」を日本に輸入したのが総合内科医長の本田美和子先生です)の共催で、「ユマニチュード」の講演会が開かれたようです。行きたかった…参加者は140名を超えていたそうで、関心の高さがうかがえます。

 このふたつのことがあって、今日は今の時点でいつもの5倍以上のアクセスがありました。ありがとうございます。

 『ユマニチュード』の翻訳作業も着々と進んでおりますのでもう少しお待ちください。「ユマニチュード」の理念とその実践を質の高い、感性に訴える日本語でお届けします。

 こちらの記事もご覧ください。

冠詞とsが泣いている

08 23, 2013
 8月7日の本講座課題について。

 1文目を見てみましょう。

 Removal of the ovaries and uterus (以下略).

 何のためにtheがあってovariesと複数形になっているのでしょうか。

 卵巣はふたつ、子宮はひとつです。卵巣をふたつとも摘出するからthe ovariesとなっているわけです。これを「卵巣と子宮」と訳してしまっては、卵巣をひとつだけ摘出するのか、ふたつとも摘出してしまうのかわからなくなります。この論文では、卵巣も子宮も全部摘出してしまうということがかなり重要な意味をもつわけです。だから「両側卵巣」としなければ。ここをさーっと通り過ぎて行ってしまってはだめなのです。

手で書く

08 14, 2013
 課題を提出すると、後日添削と一緒に訳例が送られてきます。

 さあどうしましょう。

 自分の訳文と訳例を見比べて、「なるほどねぇ~」と感心して終わってしまっては、あまりにももったいない。また、「この単語はこう訳すのか~覚えよう!」という勉強のしかたにも問題があります。

 復習のしかたにはいろいろあるのですが、今日はそのうちのひとつを紹介します。

 ズバリ、「訳例を手で書き写す」

 私も以前、毎日やっていた時期があります。かける時間は15分くらい。

 毎日やるのが大変であれば、課題に取りかかる前にやってみたり、ひどい日本語の文章を読んでしまったあとにやってみたりしてもいいと思います。

 もちろん、ただ漫然と書き写していてもだめで、次の3点を意識するといいと思います。

 ①情報構成を確認する。 
 専門書などを読んで意味がわからないのは、専門用語や専門の言い回しの問題を抜きにすれば、だいたいその書き手が情報構成を意識して書いてないからです。つまり、誰かに何かをわかりやすく伝えようとする意志がないんです。
 情報構成を意識しないで文章をかけるようになるには、いったんそれを意識化する必要があります。何でもそうだと思いますが。

 ②情報子の結びつきに注意する。
 どの名子とどの動子がくっついているか。どの名子とどの形容子がくっついているか。

 ③リズムを感じとる。
 日本語の「リズム」と言ってしまっていいかはわかりませんが、これをことばで伝えるのはとても難しい。体で覚えるのが一番だと思います。
 たとえば、原文の動詞がどれも過去形になっている場合に、一律に「~た。」「~た。」「~た。」とするのは超音痴。書き写す際に原文を見る必要はまったくありませんが、文がどのように終わっているかに一度注意してみてください。

フランス語の参考書⑩『ゼロからスタート フランス語単語』

08 13, 2013
ゼロからスタートフランス語単語BASIC1400ゼロからスタートフランス語単語BASIC1400
(2009/09/18)
島崎 貴則

商品詳細を見る


 目次

 読者へのメッセージ
 フランス語単語のとっておき学習法

 第1章 重要動詞(10語)
 第2章 「意味と用法」で覚える(338語)
 第3章 「語形」で覚える(750語)
 第4章 生活語(303語)
 
 インデックス(さくいん)


 今回は単語集の紹介です。
 この本はいわゆる「読む単語集」。

 単にフランス語の単語とその訳語、フランス語の例文とその訳が載っているのではなく、語義の説明があったり、語源に触れられていたりします。
 ただ、第3章、第4章に関しては基本的にフランス語の単語とその訳語が並んでいるだけになっていて、ちょっと使いづらいかなと思いました。
 単語数で言えば、説明や例文がついているのは400語弱といったところです。

 だからといって、この本を利用する意味がなくなるわけでは決してありません。
 そもそもの話、いくら単語集とにらめっこして単語を覚えても、実際に使えるようにはなりません。これは誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。
 単語集というのは、本を読んだり会話をしたりするなかで、ある程度なじみの深くなった単語を整理するために使うもの。

 その意味で、意味や用法のほかにも、第3章のように「語形」に注目することは、単語を整理するうえでとても重要です。
 たとえば、接尾辞については「動詞を名詞化する語尾」、「名詞を動詞化する語尾」、「形容詞を名詞化する語尾」、「形容詞を作る接尾辞」、「副詞を作る接尾辞」、「意味を持った接尾辞」というように分かれています。

 フランス語に関しては、このタイプの単語集にはあまりお目にかからないので、1冊持っておくといいと思います

カウンセリングのご案内(トライアリスト会員対象、要予約)

08 08, 2013

 カウンセリングのご案内(トライアリスト会員対象、要予約)


 日時 
 
 8月30日(金)
 ①13:30~14:30、②14:30~15:30、③16:00~17:00、④17:00~18:00

 8月31日(土)
 ①13:30~14:30、②14:30~15:30、③16:00~17:00、④17:00~18:00

 9月1日(日)
 ①13:30~14:30、②14:30~15:30、③16:00~17:00、④17:00~18:00


 自分がいまどのような場所にいるのか、どの方向を向いて歩いているのか。これを知るのはなかなか難しいことです。自分がいる場所を確認するには地図が必要です。地図とは言い換えれば全体像のこと。全体像がわからなければ今いる位置もはっきりしません。ただ、地図は自分で作りあげていくべきものでもあります。そうはいってもやはり時間は有限です。そこで、すでに地図を作りあげた先達の知恵を借りてみてはどうでしょうか。
 
 いったん自分のいる位置を把握したうえで、改めて目的地を目指すのです。今度は目的地への進路からはずれていないか、目指すべき方向に進んでいるかを確認するコンパスが必要です。目的地が北にあるのに南に進んでしまったら、いつまで経っても辿りつけません。地図と同じくコンパスも自分で作らなければなりませんが、やはり時間は限られています。これも先達の力を借りない手はありません。
 
 もちろん、カウンセリングを受けて自分がいる場所、進むべき方向がわかってからが勝負です。全体像を見失わずに進むべき道を行くと同時に、自分の地図、自分のコンパスを作りあげていってください。



 くわしい内容、お申込みについてはトライアリストのホームページまで。

『誤訳迷訳欠陥翻訳』

08 06, 2013
誤訳迷訳欠陥翻訳 (1981年)誤訳迷訳欠陥翻訳 (1981年)
(1981/06)
別宮 貞徳

商品詳細を見る


 読む場所を選ぶ本。まわりに人がいるところで読んではいけません。あまりにもおかしくて笑いをこらえきれなくなり、変な人に思われます。
 ただ、読後は落ち込んだ気分に。こんな低劣な翻訳書が出版されて、それがまかり通ってしまう世界ってなんだかな~って感じです
 現在このような状況が改善されているのかどうかは調べてみないことにはわかりません。

 そういえばこの前、まるまる1章機械翻訳で訳されたも本がそのまま出版されたというとんでもない話がありましたね。それで許されるなら楽な商売ですね


 さて、別宮さんはこの本で、誤訳を考えるうえで有益なことを書いています。翻訳にはどのようなレベルのものがあるかというものです。p.232以降の内容を簡単に引用、整理してみます。

 ①良訳 著者の言わんとするところを正しくとらえて、それをりっぱな日本語で表現したもの
 ②名訳 良訳の中でも特にすぐれたもの
 ③(広い意味での)悪訳 良訳の2つの条件をみたさないもの
 ④(狭い意味での)悪訳 りっぱな日本語で表現されていないもの
 ⑤(広い意味での)誤訳 著者の言わんとするところを正しくとらえていないもの
 ⑥(狭い意味での)誤訳 語学レベルでの誤り(表層的)がなくても、感覚的なレベルでの誤り(深層的)があるもの

 要は解釈と日本語というふたつの基準を設けて考えているわけです。

 日本語については「りっぱな日本語」という表現を使っているのですが、この本を読んだだけではこれが「上手な日本語」の意味なのか、「日本語としての体裁を整えたもの」の意味なのか、いまひとつよくわかりません。
 
 ただ、この本のなかで「いわゆる誤訳よりも悪訳の方がよほど罪が重いと考えている」(p.30)とか、「誤訳なんてハシカみたいなものだが悪訳はガンだ」(p.31)などの記述があることを踏まえれば後者の可能性が高いと思います。

 そうであるとすれば、これは「悪訳」なんてものではいささかもなく、「非訳」とでも言うべきものだと思います。日本語の文章になっていなければ、翻訳がどうのこうの言ったって意味がありません。

 詳しくは『日本人に日本語を』を読んでいただけばいいのですが、日本語の「免疫力」、日本語の「健康」に問題のある文章は、そもそも日本語としての体裁を整えていないわけですから、翻訳の評価の対象にはなりえません。それ以前の問題です。

 
日本人に日本語を〈第1部〉翻訳者に日本語を日本人に日本語を〈第1部〉翻訳者に日本語を
(2011/04)
辻谷 真一郎

商品詳細を見る


 
 解釈の問題にも触れておきます。別宮さんは解釈を表層的解釈と深層的解釈に分けています。そして、「表層的には誤訳でも深層的には誤訳でない場合、逆に表層的には誤訳ではなくても――つまり正訳でも――深層的には誤訳のことが往々にしてある。そして、それこそほんとうの誤訳と呼ばれるべきだ」(p.232)と言っています。

 前者についてはドナルドキーン氏が『斜陽』の英訳で「白たび」をwhite glovesにしたという話を紹介しています。「白たびは威儀を正した礼装」ですが、「white socksと訳したら、まるでテニスに出かけるスポーティな少女のおもむき」が出てしまいます。そこでwhite glovesなら白たびと同じく、「威儀を正した礼装」のイメージがわくので、「表層的には誤訳でも深層的には誤訳でない」というわけです。

 まさにその通りなのですが、表層的に誤訳だとか誤訳でないとか言うのは意味のないことだと思います。X語の単語なり文なりを読んだり聞いたりして思い描くイメージと、Y語の単語なり文なりを読んだり聞いたりして思い描くイメージが同じになるように、言語の形式を変換するのが翻訳と言う作業です。言語が違えば言語の形式も違います。だからその形式の違いを問題にしても無意味だということです。


 以上のことを踏まえて翻訳を評価する基準を考えてみました。少し表現を変えています。

 ①良訳 原文の情報を正確に把握できており、それを変質させずに「基礎体力」、「競技能力」を備えた日本語で表現しているもの
 ②名訳 良訳のなかでも、日本語の「競技能力」が一線級のもの
 ③悪訳 日本語の「基礎体力」、「競技能力」に難があるもの
 ④誤訳 原文の情報を正確に把握できていないか、それを正確に把握できていても形式を変換する際に変質させてしまったもの
 ⑤非訳 日本語の「免疫」、「健康」に問題があり、日本語としての体裁を整えていないもの
Humanitude(ユマニチュード)「老いと介護の画期的な書」発売中!
詳細はこちら、お申込みは こちらをご覧ください。
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Author:クルック
翻訳の森に迷い込んでもう3年。トライアリスト東京。

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